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『「ネット広告万能」の死角』???

BY
是永聡
AT
2007/12/14,14:11
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日経ビジネスの2007年12月10日号に出ていた記事。(日経BPオンラインで冒頭が公開されており、会員登録すれば全文読めます。

記事で取り上げられているコカ・コーラの実験内容は興味深い内容ではあったものの、インターネット広告にかかわっている立場としては記事の仕立て方に理解に苦しむ点があったため、この記事を読んでホホーソウナノカネットコウコクハバンノウジャナイノカなんて思うひとがもしかしたらいるかもしれないので、ちょっと長いけれどいちおう書き記しておきます。

# 検索してみたところ「ワーディングラボ」のasotetsuさん「日々雑感」のrsato12さんも似たような趣旨ですでに書かれています。


 +++

「ネット広告万能」の死角
テレビに代わる有力メディアとしてインターネットが急速に台頭。ネット広告はラジオや雑誌を追い越し、テレビの牙城をも崩す勢いだ。だが、日本コカ・コーラの実験ではネット最強説を覆す結果が出た。

 +++

ってあるけど

(1)asotetsuさんrsato12さんも指摘しているように、「ネット広告万能」「テレビの牙城をも崩す勢い」「ネット最強」だなんて、いったいいつ誰がそんなことを言ったのだろう。通販やコミュニティという視点ではインターネットはすでに世の中に対し大きな変化を与え始めているだろうが、少なくとも広告、それもネット通販や契約獲得に直結した獲得型広告ではない(コカコーラのような)ナショナルクライアントのブランディング型広告についていえば各社ともネットという媒体の可能性を感じてはいるものの決定打は見つかっておらず日々試行錯誤を繰り返している、というのが現状じゃなかろうか。いくら“ネット”を見出しにつければひきが強い(のではないかと推測)からといって、こういう見出しを書かれ、それが日経という媒体特性上広告主の偉い方々のインターネットに対する過度な期待と失望とにつながるのは、インターネット広告にとってあまり望ましいことではない。

(2)それよりもなによりも、そもそもコカコーラの実験あるいはコカコーラの副社長は「ネット広告は効かない」なんてひとことも触れていないように読めるんですけど。。。コカコーラの人が言ってるのは、テレビ一辺倒よりも交通広告と屋外広告への配分を高めたほうがよいことがわかった、ってことだけで、ネットについては言及していない。だいたい実験配分比率が屋外広告=40%、テレビ=37%、交通=11%なのに対しインターネット=2%とそもそも最初からほとんど使ってない(ネット広告を重視していない?)わけだし。

「ネット広告万能」なんてことよりも「ネットをマーケティング・コミュニケーションの1媒体として活用したいが悩んでいる。自分じゃバナーをクリックすることもあまりないし、仕事の調べ物でもない限りわざわざ企業サイトに行くこともないし。」あるいは「会員登録やネット購入のアクション誘発としては確実にネットは有効だが、一般流通商品についてはまだまだ試行錯誤が必要だなあ。」っていうのがマーケティング担当者の実感じゃなかろうか。(実際コカコーラの実験でもネットに2%しか割いてないし)

インターネットというメディアをどうとらえ、どう活用していくか、については、bk1などで活躍されていたsmashmedaの河野武さんの話のほうがよほど役に立つと思われるので、未読な方はどうぞ。

時間や空間という現実の制約から解放してくれること(=コミュニケーションコストの低減)こそインターネットの価値だってのはそのとおりだと思う。閲覧環境も日々向上している中で、今後はもっとインターネットの本質的な価値をとらえた、ダイナミックなライブコミュニケーションを企んでいくべきなんでしょうね。
(↓講演の資料は必読!)
http://smashmedia.jp/files/CA-20071126.pdf


# とはいえ今回の記事。交通広告が少なくとも飲料カテゴリーにおいては態度変容(実際に飲むようになった)に影響を与えたという結果は興味深い。

これってひとつには「他媒体に比べた時の接触時間の長さ」(テレビはせいぜい15秒か30秒だし、雑誌や新聞だとどれくらいだろう、仮に目がとまっても30秒程度? ネットのバナー広告なんかだともっと瞬間的。対して交通広告とくに車内広告は掲載面の前にいる時間がより長い。)の影響だろうし、

もうひとつには「リーセンシー(直近性)の高さ」(電車の場合、降りてすぐにアクションが可能。とくに飲料などの場合には)が有効に働いているということであろう。

もっとも、他の商品カテゴリーの場合はどうだろう、とか、リーチの少なさ(電車に乗る機会が少ない人は見ない)はどうカバーするのだろう、とか、交通広告にもいくつかの弱みはあり、当然のことながら万能であるわけはないのだ。だからといって、『「交通広告万能」の死角』なんて声高に主張するひとはいないですよね。

結局案件ごとに知恵を絞りながら、そのとき最善と思われる策を打っていく、ってことに終わりはないのかもしれません。

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COMMENTS (3)

はじめまして。拙のブログにコメントをいただきまして、さらにこちらのブログで紹介までしていただいて、ありがとうございました。

私は仕事でネット広告に関わっているわけではないのですが、プロの方と同じ考えと知って、ちょっと自慢げです。

BY
rsato12
AT
2007/12/14,22:39

ご紹介ありがとうございました。
ぼくもこの記事をさっき読んだのですが、ご指摘の通り、印象操作が強すぎて正確ではないと思います。
ネット広告の予算配分が変わってないのに、ネット広告を批判するのは意味がわからない。もちろん言われるまでもなくネット広告は万能じゃないのですが、こういう指摘はひどいですね。

BY
河野
AT
2007/12/15,01:13

>rsato12さん、
コメントありがとうございます!
検索したらさすがに同じような指摘をされている方がいらっしゃって、安心しました。
まあ本文を読めば理解できると思うのですが、見出しだけで影響を受ける人もいるでしょうしね。とはいえ見出しがキャッチーでないと読んでもらえないし。難しいところですね。

>河野さん、
コメントありがとうございます!
河野さんのインターネットに関するさまざまな記事やコメントは以前からとても参考にさせていただいていました。出版、楽しみにしています!

BY
是永@spicebox
AT
2007/12/17,13:07

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